(ハッ・・・)




久しぶりに夢を見た。




あの頃冬生はいじめられっ子だった。




孤独だったあの頃。



額を撫でると冷や汗がすごいことに気づく。




あの頃と今は違う。




あれから合気道やら護身術やらを両親の勧めで習い始めた。




両親は仕事に朝から晩まで追われていて僕と話すこともほとんどなく、虐めのことは終わってから話して初めて気づいたようだった。




髪も自分を少しでも強く見せるために軽く赤に染めたんだ。




(前の俺とは違うんだ。)




「あの人・・・誰だったんだろう」




名前も知らない大人っぽい雰囲気だったあの人。




出会えたらお礼がずっとしたかった。




「ま、出会えるわけないか。」




そう呟いて制服に着替える。





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